「小江戸」川越で祖母をもてなしてみた 前編
こんばんは、週末です。
1月6日の夜のことです。
祖母「明日川越に行かない?」
ずいぶん唐突にデートのお誘いをされました。冬休みに呆けている僕を見かねて、外出の機会を与えてくれたのでしょうか。
川越(埼玉県川越市)といえば、江戸情緒あふれる蔵造りの街並みが有名な観光名所で、小江戸とよく称されていますね。
都内住みなので、割と気軽に行ける距離です。
普段は面倒くさがりで、祖母に連れられて出かけるなんて死んでも嫌なのですが…
僕(これはブログに書ける…!!)
と思ったので、珍しく了承してみました。川越旅行の始まりです。
1月7日 土曜日 朝
僕「おはよう」
祖母「パスモ持った?」
僕「まず朝ご飯を食べさせてください」
祖母がいつになく上機嫌であることに気づきました。話によると祖母は10年前からずっと川越に行ってみたかったようです。一大イベントだなこれは。
僕「よし、行こうか」
祖母「その白いズボン私嫌い。黒いのにして」
ぎょっとしました。今まで僕の服装にコメントすることなんてなかったんですから。人のファッションに口出しするレベルでテンションが上がっています。川越、あな恐ろしや。
言われた通り漆黒のパンツに身を包み、玄関を出ました。
無計画らしい
うちの旅行は基本電車です。とりあえず、電車の最寄り駅へと向かっている最中に、ふと気になり祖母に尋ねます。
僕「今日は川越でどんなところを回るの?」
祖母「任せるわ」
任されました。祖母、まったくの無計画だったようです。ひいては川越への行き方も分からなかったようです。ワイルドすぎませんか。
ここまで丸投げされると、逆に闘志が湧いてきた僕。
(最高のプランで存分にもてなしてやる…!!)
と、言うわけで、行きの電車の最中にスマホをフル稼働させ、川越の下調べをしてプランを練ることにしました。
池袋で東武東上線へ
乗ったことのない路線です。電車には詳しくないので、東京と埼玉を結ぶ路線のうちの一つということしかわかりません。ちなみにここにくるまでは、祖母と主に父親が死んだときの遺産相続の話をしていました。
「急行 小川町行き」に乗ります。ここまでは順調です。
池袋――川越――小川町
となっていて、目的の川越駅は終点の小川町駅までのちょうど半分くらいのところに位置していました。
ここでハプニングが起きます。
東武東上線電車に乗り込み、川越まで割と距離があるので僕は居眠りしてしまいます。祖母は居眠りをしない人なので、寝過ごす心配はないはずです。
実は昨晩は3時間ほどしか寝ていなかったので、すごく眠たかったんです。泥のように眠りにつきました。
そして、寝ること約1時間…
祖母「着いたよ。起きな」
僕「……んぁ? あれ? ここどこ?」
祖母「小川町」
終点ーーーーーーーーーーーーー。
完全に失態を犯しました。川越駅で降りることを祖母に伝えるのを忘れていて、祖母は勝手に小川町駅で降りるのだと思い込んでいたようです。川越駅をきれいに通り過ぎて、ただ東武東上線を端から端まで移動した人になってしまいました。
ああ、なんで居眠りなんてしてしまったんだ…。痛恨のミスで予定が大幅に後押しされてしまうことになりました。
祖母「ちょっとしっかりしてちょうだい…」
僕「申し訳ありません」
僕が悪いのは認めますが、川越に向かっているのに川越駅をガンスルーする祖母もなかなかロックだと思います。あなたまだボケるほど老婆じゃないでしょ。
そのまま池袋行きの快速電車に乗り、同じだけ引き返しました。その間ずっと祖母に罵られていました。
川越駅に到着
本来11:02に到着する予定が、12:27の到着。もうお昼ご飯を食べてもいい時間です。
ここら辺から祖母は「おなかすいた」以外の言葉を発しなくなりました。
駅前には小江戸どころか平成も通り過ぎてそうなオブジェがありました。
モノリスにかまっている暇はないので、まず最初の目的地「川越大師 喜多院」に向かいます。
僕「GoogleMapによるとこっち」
祖母「川越の名物料理って何?」
GoogleMapに従って、川越の街を進んでいきます。まだ全く小江戸の雰囲気は感じられない普通の街です。
川越八幡宮
「喜多院」に向かう道中で、道のわきにしょぼ小さな神社「川越八幡宮」を見つけました。
祖母「行こう」
僕「はいおばあ様」
祖母が何かにとりつかれたように向かうので、ついでにお参りをしてきました。
手水舎で身を清める祖母。
空腹
川越八幡宮で軽くお参りをし終えたので、本題の「喜多院」を目指して歩きだします。
ここらへんで僕も祖母も空腹に限界を感じてきました。
ここら辺の通りにはあまり食べ物屋さんがなく、「カトゥ=ジドゥシャ(1869~1945)」くらいしかありませんでしたが、やっとの思いで手打ちそばの店を見つけ、餓死寸前の我々は駆け込むことを余儀なくされました。
当初の予定では川越名物のうなぎ料理を食らう予定でしたが、うなぎ屋がどこにもなかったのですから仕方ありません。
僕が頼んだのは、鴨南蛮。冷えた体も温まって、おいしかったです。
鴨肉を食べるのは初めてでした。牛肉の方がおいしいと思いました。
祖母が頼んだのはたぬきそば。
僕「おいしい?」
祖母「きつねにすればよかった」
たぬきときつねに明白な優劣が定められました。全国のたぬきさんごめんなさい。
いざ喜多院へ
腹も満たし、人間としての尊厳を取り戻した我ら。
元気よく、今度こそ喜多院へと歩を進めます。
後編に続きます。